国際会議が東京で開催されたITSの不思議に迫る

kousokutofujisan
2013年10月14~18日まで、東京ビッグサイトに於いて「ITS世界会議東京2013」が行なわれた。

ITSの世界会議なんていうのが存在するんだな ………と改めて思ったいっぽうで、「で、最終的にITSってなんなのよ」といった質問もわき上がったりして。

なかなか深層の深いITSの不思議に踏み込んでみたいと思う。 

ITS世界会議というのは今回で20回目を数える歴史のある国際会議。

毎年世界各地で開催されていて、第1回は1994年にパリで開催され、日本では第2回の横浜、第11回の名古屋に続いて3回目の開催となるが東京での開催はやっと。 

ところでITSってなに?!きちんと答えられる人は意外と少数なのではないかと思う。(IntelligentTransport Systems》の頭文字をとったもので、「高度道路交通システム」と日本語ではあらわされる。

うーん、それでもさほど今一つだなあ……。

ついつい、自動運転とかそんなことだよね、とひとまとめにされちゃいそう。 

まあ、自動運転的なものもITSのくくりに入り込むのだが、もっと多方面にわたる概念で、ITSジャパンによると『人と道路と車両の中で情報の受発信を行い、交通が抱える事故や渋滞、環境対策など、色々な課題をクリアするシステム』、と説明されている。

ひとつの例として、道路上にセッティングされたビーコンを介して渋滞情報をクルマに送ってリアルタイムでカーナビ画面に表示したりするのもITSの一例だし、いずれは路上を走るクルマ相互での情報通信による交通状況のやりとりや、歩行者検知機能を進化させた事故防止策などに発展させていくのもITS。

渋滞や事故を減らすことで環境にも優しい車社会を目指しているのがITSなのだ。 

ITSの一環でUTMS《UnlversalTraff・lcManagementSystems9新交通管理システム》が推進する安全運転支援システム(DSSS「DトリプルSと呼ぶ」)を体験した。 

UTMSは一般社団法人で。一般道におけるITSの環境整備を担当する。

主に光ビーコンを用いた路車間通信をベースにしたシステムを採用する。

ちなみに現在、国内の道路上に用意されている光ビーコンは約5万4000基とのこと。

交通量の多い主要道路の交差点に設置ずみだというが、まだまだ設置されていない交差点も多く、整備が急がれる。 

リアルにどのような運転支援があるのか?何か所か注目すべき機能を紹介したい。

二輪車左折巻き込み讐告

 
交差点手前に設置されたカメラを介して後方を走る二輪車を検知すると、光ピーコンにより自車に注意喚起の警報が伝達される仕組み。

右直衝突防止支援自車が右折しようとする際、入差点蕈万を直進してくる二輪をカメラで検知して注意喚起。警報を伝えるシステム。 

歩行者横断見落とし防止支援 右折時などに曲がった先の横 歩道を通行する歩行者の見落 』しを警報で通告する。歩行者の有無はセットされたカメラで検知する。 

出会い頭自転車衝突防止支援

 

見通しの悪い交差点等において、交差路を走行する自転車を、道路上にセッティングされたカメラで検知して交差点に近付く自車に光ビーコンを活用して注意喚起。 

これらのシステムの特徴は、どちらも対象車両、対象の歩行者などが類を見ない発信器などの機器を持っていなくともシステムがはたらくという点。

つまりは車車間通信、歩車間通信で気がかりの種と思われるのが、双方システムに対応した機器を組み込んでいなければ通信が成り立たないというところにある。

しかし、DSSSの方法では、対象車、対象歩行者は道路上に用意されたカメラにより検知され、この連絡を光ビーコンで車側に伝えることこそがミソ。

自車が受信機を携えていれば情報を手に入れるということができるということに違いない。 

ただし、いうまでもないもののカメラが行なう二輪車や歩行者の検知には当然限界があり、エラーの可能性さえもある。

警報はどちらにせよ手助けであって、警報がない=安全と注意を怠ってしまっては逆に危険が増加する。

このあたりのズレをどう埋め込んでいくかが今後必要となる。 

信号データを車両側に提示する新たなチャレンジ

DSSSの新規リアクションとして今回特に注目したのが「信号情報活用運転支援システム」。 

この先に用意された信号機の データを車両側に提供するスタイルなのだが、例えば、推奨速度を表示することで先々の信号を青で通過することができる機能があったり、赤となることがわかっているのであればそれを提示して滅速を促すなど、車内機器にお知らせする。

まさにシステムを搭載した実験車両に同乗してやったのだが、道路の変動などで先の信号の見通しがきかないような道程で表示器に「50㎞/hで巡航せよ」といった表現が出て、そのように進めば青信号で通過できたり、あるいは表示器に黄色シグナルのアイコンが現われるとつい先ほどの信号か赤に変わるところで早いうち減速をすることでエコ運転に寄与できるなどの有効性を体感した。
 
ただしいっぽうで、絶対にすべての信号や路上にこのシステムがセットされるわけではなく、これからの整備についての割合もまだまだ不透明。

一定の普及が進まないと、目指している効果をワイドに享受することは不可能だろうなと察した。

双方ともに発信器を利用しての車間通信システム

いっぽうで、双方ともに電波を利用した発信器と受信機を一式にした機器を搭載していることで車車間通信を叶えるシステムもクリエイトが行われている。 

分かりやすく言うと位置情報を発信、受信しておくことでお互いが衝突の事が考えられる状況の際に警告を打ち出すというシステム。

道路上のカメラと光ビーコンを利用した先の方式について、地上機器の整備が不要なた め、場所に影響を受けることなく警報システムが動作するというプラスの点が多いいっぽう、お互いが車載器を搭載していなければ全然機能しないという最大のデメリットが見られる。 

車載器を載せた車両同士であれば、ひとつの例として見とおしの悪い路地などで接近警報を受けることが叶うが、車載器を搭載しない先方であれば、当たり前だが全く機能はしない。

このシステムが100%機能を発するためには、システムの規準を国際的に統一し、すべての車に機器搭載を責務づけるといった、思い切った施策が必須。

新車への機器搭載を責務づけるとともに、現有車に関しては機器を搭載しなければ継続専横を認めないなどといった、かなり大胆なやり方が必要となりましょう。 

ただしハードルは大きく、また広範囲になる。通信のための電波においては総務省がコントロールし、信号情報などは警察庁、道路自体や車両本体に関しては国交省と管轄省庁がバラバラで、行政官庁同士の連携か絶対必要だ。

現場レベルではおのおの省庁の担当官たちが積極的に情報シェアなどをしているが、上のレベルでの連携されなければ話はスムーズにいかない。

車車間通信の電波においても、使うことができる電波帯が決まっているのだが、今のところ製造元によってさまざまな周波数が避けられず、統一が見られないのだという。

勿論異なる電波周波数を利用しての機器同士では情報の交流はできない。こんなところも、統一した規格策定が急がれる要所。

間に合わせとしての現実的な普及策については、例として道路上で作業をする工事車両だったり、緊急車両に機器を搭載するという仕方。

これなら、自車が車載器を搭載していけば工事車両による車線の独り占めや、緊急車両の接近情報などを受けることができる。とりあえずはそういった部分がスタートとなるだろうか。 

この電波による通信テクニックを広げて行けば、歩行者や自転車の認識機能にも結びついていくのだが、当然、歩行者や自転車にも発信器の携帯が必要。スマートフォンを使用してのシステムなどがいま考えられており、スマートフォンの浸透率が高まればリアルな機能と化すのかもしれない。
   
と、ITSの最新ステップを足早に見てみたわけだが、そのような路車間通信、車車間通信、歩車間通信などのシステムが決まれば、次のプロセスとして自動運転という世界に結びついていくのだろう。 

ITS世界会議の開会式ではITSジャパンの渡邉浩之会長が自動運転技術への情念を話し、安倍首相は「成長戦略における重要な要素として規制緩和やインフラ整備を積極的に進めていきたい」とのコメント映像を寄せるなどやる気を含ませたムードとなっていた。

トヨタは2010年代半ばには高速道路上における自動運転の実現 をめざした技術を開発しており、現実に自立走る実験車をオープンにしている。 

ホンダや日産も自動運転の実現にトライしているが、自律型でありインフラ協調型であれ、技術的』にはあり得る領城まで進んでいても、法整備 やセキュリティ問題みたいなところもプラスしたインフラ整備がキーポイントが生じてくる。